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生協組合員証としてのコープカードとチェックのしかた

  1988年、コープみやざきの一号店、コープ柳丸店を設立する頃の話です。おりしも日本中が「生協規制」の政治的空気で蔓延していました。九州では地域生協最後の店舗出店県になる、この宮崎でも「生協の店を出店させてはならない」ということで出店反対のカンパニア運動が巻き起こりました。出店反対の請願に宮崎市選出の4人の自民党県議が紹介議員に名を連ねたものですから、反対する側は鼻息も荒く、全国的には考えられない厳しい要求をしてきました。その一つが利用者のチェックです。「生協の店には、組合員以外は一人も利用させてはならない。どのようにして組合員とそうでない人を見分けるのか」との問いかけに、その方法が思いつかずに困ってしまいました。他県の生協は、組合員さんにメダルなどを渡して月に数回「メダル提示」をしてもらいチェックするというようなもので、毎日逐一チェックする方法はとっていませんでした。
  店舗も初めてで、経営体力もない、コープみやざきにこれほどの要求を突きつけてくる人達や紹介議員に怒りを覚えましたが、法律は守るしかないということで導入したのが、磁気カード組合員証でした。組合員さん全員に「組合員カード」、その家族の方には「家族カード」を渡して、店舗を利用する際にはレジで「組合員カード」か「家族カード」を出してもらい利用してもらうのです。利用資格を問うような店舗は他になく、新店オープンの買い物に来てレジでそのことを告げられると、「ふざけるな!」と起こって帰られる方がたくさん出ました。
  もうひとつ困った問題は、組合員さんとその家族全員をPOSに登録しておかなければなりません。当時のPOSサーバーでは、他のデータを他に移してやっと登録できるほどしか容量がありませんでしたので大変苦労がありました。しかし、このことが利用者の「ポジティブチェック方式」に道を開きました。
  クレジットカードはほとんど「ネガティブチェック方式」です。カードに対して認証を与え、与えられてないカードをチェックする方式です。それに対して、コープみやざきの「ポジティブチェック方式」の方法は、カードには意味を持たせずに、組合員さんの情報管理を行い、掛買いをしたい人だけに掛買いを認めるというものです。多人数を登録しなければならないこの方法を採用するときには迷いましたが、松本六太宮崎銀行元常務取締役(故人)の「この方法のほうが間違いが少ないよ」とのアドバイスもあり、この方式で行くことにしました。松本さんには、コープみやざきのシステムのことなどでは大変お世話になっています。(別の機会に紹介したいと思います)。
  生協であればこのカードチェックの方式は、「ポジティブチェック方式」をお勧めします。生協でなくても百万人単位のカードであればこの方式がいいと思います。利点は、利用条件に変更がある場合でも、いちいちカードを取り替えなくてもいいこと、カードを紛失した場合の危険が少ないなどです。
  そのようにみていくと、世の中のしくみを「利用者にとって本当にこれがベストか?」という目で見直すともっともっと創造的システムが出来てくるように思っています。

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