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原料偽装「牛肉コロッケ」と生協の対応

日本生協連が㈱北海道加ト吉に製造委託していた「・牛肉コロッケ」に、原材料メーカーのミートホープ社が、豚肉や鶏肉を混入させていました。ミートホープ社は生協だけでなく、二十数年にわたり、十数社に対して同じような偽装をしていたと報道されています。それに心を痛めた元役員が、農水省や北海道庁に数度告発しておりました。多くの社員が心痛めるその偽装を、あろうことか社長は「発想力」と自慢していたのだから驚きです。農水省や北海道庁の対応も不可解です。

今日のNHKの報道によると、この肉を使ったコロッケを販売していた生協が、過去に遡って購入した人たちにお金を返し始めたということです。最大手の生協事業連合コープネットでは、共同購入はデータに基づき過去に遡って全額返金し、店舗については申し出によって返金する、ということでした。

日本生協連は早い段階から、このコロッケについては、発売時期(2003年3月)に遡って納入価で全額返金する旨を取り扱い生協に通知していました。この判断はとても早く、各生協で対応を検討するにあたって、充分な時間が取れたのではないかと思います。偽装がなぜ防げなかったかという問題については、根本原因の究明と再発防止が急がれますが、取引先生協に対する日本生協連トップの素早い決断は、評価に値すると私は考えています。

好ましくない事態が表面化したとき、その瞬間のトップの判断・決断にはそのトップの真の価値観・思想が顕れるのでしょう。自己保身的にその場を取り繕い、他に関心が移るのを待つ、というような姑息な対応が目に付きすぎる最近の状況ですから、利用者に対する誠意を持った素早い判断・決断は、私の目に光って見えるのかも知れません。

下の記事は、コープみやざきの対応ですが、この趣旨は、6月26日(火)の通常総会の際に、亀田専務理事の特別報告でされました。組合員さんへ向けた、この判断・決断も早かったと思います。判断・決断にはその裏付けになるデータ・情報が必要です。そのデータ・情報を抽出出来るか?抽出するのにどれくらいの時間がかかるか?が、判断・決断の早さに影響します。2003年3月に遡って、店舗の組合員さんごとの取引データを抽出するのに、かなりの手間と時間が掛かりますが、コープみやざきが素早く判断・決断することに、㈱CMSが若干なりとも役立てたことをうれしく思っています。

それにしても、データや情報は受け取る人・使う人によって歪められたり消されたりする、ある意味無力なものです。しかし、受け取る人・使う人によっては、強力な力を発揮します。データ・情報は人に役に立つように使ってくれる「人間」を必要とします。コープみやざきの仕事をしていて良かったと思わずにはいられない出来事でした。

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【以下のコープみやざきの、組合員さんへの対応は、ホームページから転載しました】
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組合員の皆様へ

日本生協連ブランド商品 「・牛肉コロッケ」原料偽装について、コープみやざきとしての対応をお知らせいたします。

この度は、日生協ブランド商品「・牛肉コロッケ」におきまして、牛肉を使用するはずの原料に豚肉や鶏肉などが混入し、組合員の皆様には不安と心配をおかけし誠に申し訳ありませんでした。日本生協連の立入り検査や、遺伝子検査などの調査結果に基づいて、コープみやざきとしての今後の対応について組合員の皆様へお知らせいたします。
調査結果は以下のとおりです。
日生協で保存サンプル(2006年4月~6月製造)30検体の検査を行いました。30検体中、1検体については豚のみの遺伝子反応。残り29検体全てで、牛、および豚の遺伝子反応があり、そのうち7検体からは鶏の鶏遺伝子も検出され、報道内容を裏付ける結果となりました。
初回発売は2003年3月ですが、「いつの時点から偽装されていたか?」については、現段階では特定できませんでした。

商品代金は返金します。
以上の調査結果から、コープみやざきの供給責任として「コープ牛肉コロッケ」には豚肉や鶏肉等が混入していたこと、2006年以前の商品につきましては保存サンプルがありませんので検査はできませんが、牛肉以外の原料を使用していたことは否定できないことから返金をさせていただきます。
過去の産地偽装、原料偽装への対応は「商品の混入割合と原料の価格から算出した価格差に、お詫び分を加算した金額を返金する」を基本としてすすめてきました。今回の「コープ牛肉コロッケ」につきましては、日本生協連が「過去(発売時期)にさかのぼってすべて単協に返金をする」という判断をしましたので、コープみやざきで取り扱いを始めた2003年以降の店舗、共同購入の全てのデータの抽出を行い、復元できるデータに基づき組合員さんへ全額返金を行ないます。
返金方法は、7月16日(月)にすべてくらしの積み立てに振り替えさせていただきます。

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コメント

今回の事件は私にとっても寝耳に水的な話でした。
ふと考えたのは役員の方々の事です。果たして我が生協のTOPはどう動くのだろうと、またその苦労の計り知れない事。。。椎木さんに限らずお疲れさまでした。
時期的に総代会の前だったので、多分何か専務の方からお話があるんだろうなと思いました。が、総代会が始まってすぐ、あんなに早くお話があるなんて。
ホントに組合員さんの気持ちを考えた丁寧な対応ってこれなんだなと。やっぱりコープみやざきは凄いなと思いました。
今日、運営委員長会がありました。皆さん、食に対する不安は残ってる様ですが、この件に関しては納得された様でした。
役員の皆様のおかげで私達ブロック理事の仕事がスムーズに出来る事に感謝します。

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