人間には人間がなかなか殺せないように出来ているらしい。「第2次世界大戦の時には、米兵の2割弱しか、敵兵に向かって発砲していなかったそうです。それで、躊躇せず条件反射的に発砲するよう心理学的知見を使って訓練改善した。結果、ベトナム戦争では発砲率が9割を超えたらしい」〔福岡賢直さん、安里英子さんとの対談より、毎日新聞090812〕
「人に親切にして喜んでもらえると、自分もうれしくなる。だから、益々喜んでもらえるようにする」。これは誰しも体験することだ。このことも「人間はそう出来ている」、としか言いようがない。もともと持っている善的性質を高めていくことによって喜びが増す、逆な動きだと心が破壊されていくのではあるまいか。
「人間はそう出来ている」という性質を出発にして、「善に循環させる」か、「悪に循環させる」かは、社会や組織がもつ文化・風土が決めるということだろう。
さて、「自分だけは別だ」、と言い切れない吾が組織は、吾が社会はどうであろうか?
事物を効率的に変えていくためのものがシステムであるならば、システム構築の前に、組織中に善の価値観を醸成しなければならない。悪循環が効率よくなされればこまるのである。その価値観に整合的なシステムだけが、善の循環を創りだすのだと考える。
これは組織トップをはじめ組織人の極めて重い責任だと思う。善の価値観を醸成する組織文化・風土になっているか、そしてシステムの真の目的が善の循環を意図したものであるかどうか、そのシステムのあらゆる部分が、善の価値観に整合的になっているかどうか、そのことが確かめられ、改善されていかなければならないと思う。
どう考えられ、どうされますか?