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2009年07月30日

仕組みとシステムとコンピュータシステム

システム」の定義は意外に難しい。電子辞書の広辞苑では「複数の要素が有機的に関係しあい、全体としてまとまった機能を発揮している要素の集合体」とある。それに対して「仕組み」は「ものごとのくみたてられ方。構想。機構」となっている。「仕組み<」とは、機能しているかどうかというより、くみたてられ方だから、システムより先に構想されなくてはならない。それに対して「システム」は、機能を発揮している要素の集合体だから、未完成で機能を発揮していないものは、まだシステムとはいえない。「コンピュータシステム」はシステムのうちコンピュータによるものだから、これもちゃんと機能しているものをいう。

したがって何かをシステム化する場合、仕組み → システム → コンピュータシステムという手順になる。しかし、現実にはこの手順をとらない場合が多い。すでに動いているコンピュータシステムを持ってきて、A組織用にカスタマイズするというやり方である。数学の演算ににて「公式」を使って現実に「適用」していくやり方である。このやり方は条件が同じ範囲ならば、きちんと動くことがはっきりしており、しかも早くA組織用コンピュータシステムができあがる。ところが、もってくるコンピュータシステムの条件を少しでもはみ出すとそこは「演算」できず、全体としてまとまった働きができないことになる。

このようなことは、意外に多く起きているように感じている。小売業のシステムをある生協の店舗にカスタマイズする。小売業にない要素が生協には多いのでそこは、本来の機能を転用して別の機能にあてるなどである。出資金の増資などがそれに当たる。また個別生協の固有の制度は、さらに難しい。だから、既存のコンピュータシステムには取り込めないので、外付けしてシステム化することになる。

生協は、共同購入を「発明」した。それを個配システムなどへ発展させてきている。ところが、店舗事業では進んだ小売業を真似て、真似るのはいいとしても、そのコンピュータシステムの範囲の中でシステム化しようとしているので、生協特有の部分や個別生協特有の部分が削ぎ落とされ、それを組み込むことに費用や労力がかかることから、めんどくさがられたり、無視されていることが多い。

やはり、現状を直視し、理念を踏まえて、こうありたいという構想から、帰納法的に、仕組み → システム → コンピュータシステムという手順でつくりあげていかなければ、特徴のないのっぺらぼうの組織になってしまうのではないだろうか。世の中でまだ誰もやっていないことこそ本当は価値あることかもしれないのに・・・

オーナートップが仕切る組織とサラリーマントップが仕切る組織との相違なのであろうか?しかし、トヨタシステムの原型をつくった大野耐一さんはオーナーではなかった。

生協もまだ間に合うと思う。供給高の伸張が見込みにくい今、あれこれいたずらにいじるより、目の前の組合員さんへ全力を尽くして応援しながら、腰をすえて生協全体の仕組み・システム・コンピュータシステムの根本を再構想してみることが大事な気がしている

2009年07月23日

トヨタ生産方式-脱規模の経営をめざして-大野耐一に学ぶ

「トヨタ生産方式-脱規模の経営をめざして- 元トヨタ自動車工業㈱副社長 大野耐一著 ダイヤモンド社」を最近読み返してみました。脱規模の経営を目指したトヨタが世界一の規模になったとは歴史の皮肉でしょうか?この本は1978年5月25日に初版が出版されております。30年以上前に出されたこの本は今にあっても古臭いどころか、今の経済状況下でこそ、企業経営のあり方を示唆する、原点的な著作だと感じ入りました。

「トヨタ生産方式は、量とスピードを追求するあまり、いたずらにロスを生み出してしまうマス・プロダクションとマス・セールスへの、いわばアンチテーゼである」。大野さんはトヨタ自工とトヨタ自販が合併することに徹底して反対の態度を貫いたそうです。トヨタ生産方式は引取りが原則であり、したがって自販が引き取れる程度にしか生産できない仕掛けでした。その関係の逆転を恐れたのでしょうか?

今私たちは、このことの意味と意義を深くかみ締めなければならないのではないかと考えます。生協は「クリティカルマス」ということで、事業連合を中心に規模を追求しています。質は規模では生まれません。質が先にあり、その質に応じて量が伴ってくるのです。今では大企業となっている企業も、最初は小さな規模からスタートし、質が高まるにつれ大きくなったところが大半ではないでしょうか?生協も然りです。

高度成長期に生産性をあげるのはだれにでもできることであった。低成長時代に何人の人がそれを達成できるか。ここが勝負どころである」。

今、再び実践で裏づけされた大野さんの言葉に耳を傾けようと思うのです。

2009年07月22日

久しぶりに書き込みます

ご無沙汰しています。久しぶりに書き込みます。私は昨年の6月にコープみやざきの役員を退任し、コープみやざきの顧問に就任しました。(株)CMSの取締役には残っていますが、非常勤です。福岡県那珂川町に住んでいて、月に一度宮崎に行き、顧問会議で意見交換をする程度です。そのこともあり一年以上書いていませんでした。これからは週に一度くらいは書き込もうと思っております。

また、別のブログを始めました。アドレスは〔http://17346704.at.webry.info/〕です。よろしければそちらも読んでください。


ですからこちらの雑感の内容は、組織やシステムの問題になっていくと思います。
よろしくお願いします。